kyouiku15g’s diary

大学に5年も通った「ゲスメガネ系教育ブロガー」いちごじが紡ぐ、ちょっときになる学校の疑問や旬の教育問題を偏見ゴリゴリに発信していくブログです。

2020年の入試改革とセンター試験の功罪

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センター試験終わるけど、なんでなん?来年からはどうなるん?
センター試験の問題点を振り返りつつ2021年からの受験状況を5分で学んで行きましょう!
こちらの記事下のブログの続編です!

kyouiku15g.hatenablog.com

センター試験の問題点


これまで大学の設立から共通一次試験までの歴史を振り返ってきましたが、今回はセンター試験の歴史!
そして新しく始まる大学入試について紹介したいと思います。


そもそもみなさんはセンター試験っていうものを知っていますか?
ゴンやクラピカ、数多くの手練れたちがライセンスを求めてバトルを繰り広げる、、というのはハンター試験だとして、


センター試験大学入試センター試験が導入されたのは1990年といまから30年ほど前の話になります。


当時の大学入試は国公立大学のみ共通一次試験を実施し、その後それぞれの大学が行う二次試験を受験して合格者を選定するというもので、私立大学の参加は認められていませんでした。

この共通一次試験は国立大学の序列を固定化しているのでないか!という批判も受けて中曽根元首相が臨教審(臨時教育審議会)を立ち上げ教育環境の抜本的見直しを行いました。

この改革を受けてセンター試験が採用されるのですが、大きなポイントは

・私立大学も参加できること
・5科目セットでなく、1科目から利用できること

この2点でした。
ふむふむ。確かにこの制度があれば無駄に多くの大学の対策を立てる必要もないし、5科目全部ではなく1教目ごとにその人の強みが生かすことができそうですね!


一体この構造にどんな悩みがあったんでしょうか。なんだと思います?
簡単にいうと


① 受験方法の多様化
② センター試験の「ふたこぶラクダ化」
③ 総合学力の低下

の3点です。
①に関しては、僕も思いっきり当事者でした。
「受験方法の多様化ってどゆこと?」って思ったみなさん。ここで一つクイズを出したいと思います。


【問題】
私立イチゴ大学を一般試験で受験するAくん。調べたところ、イチゴ大学の一般試験は4日間ありました。さて、Aくんが出せる願書はいくつまであるでしょうか?

さあ。一体いくつの願書が出せるのか、、?
「普通に考えて4つ?」「いやいや、クイズにするくらいだから倍の8個くらい出せるんじゃないの?」「大穴狙いで0!」

 

正解は、、12個でした!
えぇ〜!多すぎるやろ!と感じたあなた!これは実際に僕が受験するときに行った方法です。


詳しく説明すると、12個あるうち4つは一般的な受験方法で、受験科目すべてを合計し、合格点に達していたら合格という方法です。
(例:国語80点、数学50点、英語20点だったら、80点+50点+20点=150点とし、この方法を選んだ受験生の中で得点が高いものから合格する方法)


次の4つが、受験科目のうち最も点数が高いものの点数を2倍にし、2番目に点数が高い点数と合計して点数を決める傾斜式方法
(例:国語80点、数学50点、英語20点だったら、最も点数の高い80点×2倍+50 点=210点とし、この方法を選んだ受験生の中で得点が高いものから合格する方法)


ほんで残りの4つが少し複雑なのですが、センター試験の科目のうち得点が高いもの2つと一般試験のうち最も得点が高いものを合算するセンター利用法です。
(例:センター試験の得点が国語90点、数学50点、英語30点、数学70点、、、で当日の一般試験が国語80点、数学50点、英語30点、、、だったらセンター試験で得点の高かった国語90点+数学70点に加えて一般試験で最も点数の高い国語80点を合計した240点を得点とし、この方法を選んだ受験生の中で得点が高いものから合格する方法)


このように、大学に入学する方法がダンジョンゲームのクリア方法のように多様化したおかげで、受験生を混乱させたり、受験破産のような状況を作ってしまいました。

 

さあ、①の受験方法の多様化では受験方法の混乱について学びましたが、
②のセンター試験のふたこぶラクダ化」とはいったいどんなもんでしょうか?


センター試験をうけると受験生全員がラクダになってしまう現象のことでしょうか?
安心してください。令和元年の現在では人類がラクダになる方法は開発されていません。


気を取り直して。そもそもセンター試験ってどんな人が受験するか知っていますか?もちろんセンター試験を利用して大学受験をする学生が多いのですが、その中にもたくさんの境遇があります。


大きく分けて、①国公立専願 ②国公立私立併願 ③私立専願 ④無関心層 の4パターンです。

おやおや。受験生といってもたくさんのパターンがありますねぇ
①に関しては昔から存在する、国公立大学を受験するためにセンター試験を利用している受験生です。すべての教科を万遍なく勉強しているのが特徴です。

②は、国公立大学も目指しつつ私立大学の受験も控えている受験生です。すべての教科を勉強しつつ、私立大学の入試で使われる教科は特に勉強している特徴があります。

③は国公立大学は受験せず、私立大学入試で必要なためセンター試験にのぞんでいる受験生です。必要な科目だけ勉強しており、それ以外の教科は受験しなかったり、まぐれで高得点が取れることを願って受験している特徴があります。


④はセンター試験をうける意味がほとんどない人たちです。うける意味がないといっても、人間的に価値がないということでなく、すでに推薦で進学先が決まっていたり、高校の方針で必ずセンター試験を受けなければいけない人たちのことです。


いかがでしょうか?センター試験の受験生といってもたくさんの思惑があって成立していると思いませんでした?


この受験生の多層化によってどんな問題がおきたと思います?(ふたこぶラクダ現象だろ?とか言わないで。あってるから)

本来センター試験平均60点を目指して作成されています。
10点以上離れたら得点調整が入るほどです。しかし、このようにたくさんの思惑があってセンター試験が運営された結果


「特に勉強してないけど得点が取れたらラッキー🌟」「センター試験は英語だけ必要だから英語だけ勉強しよう」
といった人たちであふれ、極端に点数が低い層と高い層のふた山に別れる現象が発生してしまいました。

これがふたこぶラクダ現象です。


この状況で平均60点になるような問題を作成しても、万遍なく勉強をしている受験生にとって少し不利な状況になってしまいますね。

 


最後に③の総合学力の低下について学んでいきましょう。これは、センター試験と私立大学の合わせ技による現象です。


みなさんはどのような方法で大学に入学しましたか?一般入試やセンター試験。それ以外にも方法がありますよね?


例えば、AO入試や推薦試験、指定校推薦などなど、、ほんっっっっとうに大学に入る方法って多様化してきましたね。


入口がたくさん増えた結果、もはや私立大学の一般試験枠は半分を切るとこも増え、一般ってなんだよ!という状況に陥っています。


推薦やAOには尖った能力がある人を優先して入学させよう。学力以外の面も優遇して入学させようという取り組みですが、あまりにも増えすぎてしまったのです。(ゴキ◯リみたいにいうな!)


その背景には、センター試験の1教科ごとの切り取りの容認や個性を育む教育の影響もあります。
結果、国数理英社の総合的な学力が低下し、数学科なのに「え?二次方程式ってなんスか?」な学生が誕生しかねない状況に陥ってしまいました。

 

なるほどねー
構造的にもう問題も出てきたし、これからの時代、明日の天気はわかっても10年後の社会までは先行き不明になってきたので、必要な能力を養うために教育界を変えようぜ!
っていう風潮が強まり、センター試験はお役ごめんになったんだねぇ〜


ほんと今までお疲れ様だよ。中日ドラゴンズ山本昌と実働年数変わんないもんね。


さて、こんな背景で始まる新らしい大学テストだけど、具体的にどんなもんなんだ?
っていうのとテストだけが変わるんじゃなくて、そもそも教育界全体がどうシフトしていくのかを学んでいこう!

 

新大学テストが導入されるまで


来年度から導入される新テストですが、みなさんどんなイメージですか?
記述式になる?これまでの対策だと厳しいの?英語が話せないと点数が取れない?たくさんの疑問点があると思うので、このテストが採用されるまでの流れをサクッと振り返ってみましょう。


そもそも新大学テストが導入の動きは2013年に出された総理大臣の諮問機関である教育再生実行会議による「第四次提言」がもととなっています。具体的には、


① 高校の授業の質を向上・確保する
② アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシーの三つを見直す
③ 大学入学試験の再構築

この3点です。よく2020年度からの教育改革というとセンター試験の見直しと想像する人が多いですが、あくまで入学テストはその一環でしかないんですよ。


①は入学テスト変更からさらに2年後より、新しい学習指導要綱に移行しますよ〜高校の授業はこんな感じで進めてください。といった国から学校に対する、授業の方針をこうしてください!っていう内容が10年ぶりに変更されるといった内容です。


②に関しては、左から順に、入学者の受け入れ方針を明確化させること、教育課程を見直し実施方針を示すこと、学位授与の見直しをすること。を課せられたものです。


そして、③こそが話題のセンター試験から大学入学共通テストへの移行となっております。
以上のことを高校や大学にお願いしたのが、今回の教育改革3本柱です!

 


新しい時代が来るなら必要な能力が変わるはず!そのために高校や大学で学ぶ内容も変えなきゃ行けないし、学ぶ内容が変わるなら学生を選ぶ基準も変えないといけないよね!というのが今回入学試験のあり方が変わるきっかけとなっています!

 

新テストの問題ってどんなもん?


さあ!大学入試が変わる理由もわかったところで、「じゃあ実際はどんな問題になんねん!」というあなたのために実際にプレテストで出された問題を一緒に見てみましょう!

こちらは大学入試センターが実際にリリースした、記述式問題のモデル問題例です!

 


もっと細かくみたい人や数学など他の教科がきになる人は

【大学入学共通テスト 例題】で調べるか、 https://www.dnc.ac.jp/albums/abm00009385.pdf からみてください!

 

さて、いま見てもらったのが、国語総合の問題なのですが、これまでの小説や古文に比べてかなりリアリティのあるお話ですね笑


実際に問題に触れてみていかがでした?個人的には、記述式といってもサクッと一分でまとまる分量で止まっていますし、何よりこれまでのセンター試験の国語は相手の感情を推測する域に止まっていたものから自分の意見を求められているところに大きな価値を見出しました。

この国語の問題はやっぱりと言うべきか正答率がかなり悪かったそうですので、解けなくてもそんなに落ち込まないでください。

 

 

さて、続いては。大きく変わる!と言われながら実はよくわかっていない英語入試に関する変更点です。


簡単にまとめると
・民間の検定や資格試験に移行
・読む、聞くの2技能から読む、書く、聞く、話すの4技能 に変更する

この2点です!


これだけ聞くと、「民間のテストってどんなんや〜!」「必要な能力が増えて大変やんけ!」と言う声が聞こえてきそうなので、詳しく学んでみましょう!
民間の検定やらに移行とありますが、当初に発表されたのは以下の7つの機関でした。

いかがですか?英検やTOEICなどは知ってても、全部知っている人はあまりいないんじゃないでしょうか。


これらの詳しい説明はしませんが(一万文字超えちゃうしね)
この民間移行によってどんな変化が起きると思いますか?
いっぺん考えてみましょー!

 

 

さぁ行きますよ!ここからはいまだに議論されているところであり、今後変更される可能性もありますので少し注意してください!(先月上旬にはTOEICが参加しないよ〜と表明してたくらいだからね)


英語入試の特色を大きく3つに分けると、


① 何回も受験できる
② 英語の総合能力が上がる
③ それぞれに適した受験方法が選べる

といったところでしょうか。


①と③について学んでいきましょう!
これまではセンター試験や一般入試の一発勝負で、その日たまたま体調が悪かったり、問題の傾向によって合格不合格が大きく左右されてしまいました。

しかし、今回の変更によって受験生や受け入れ側の大学に受験する時期や回数、傾向を選択する幅が増えました!


いいところとして、一般試験がはじまる冬の前に英語の点数を確保することで他の教科の勉強に集中できること、大学が欲しい人材を想定して受験方法を選ぶことができることが考えられますね!


その反面、どの試験方法を選ぶのか?試験方法を1つに固定されると向き不向きが生じる、受験料や遠隔に住む人にとっては受験機会の不平等が生じてしまうといった問題が残っています。


②の英語の総合能力についてですが、これまでの受験方法では実際に英語を話す能力が判断できず、国際社会で通用するスピーキング能力がつかないのではないかと議論されていました。
そこで、いままでの読む、聞く。といった能力に加えて、話す・書く。といった能力も付け加えることになりました。


すでに英語の授業は日本語をいっさい使わない学校があらわれたり、英会話スクールに通わせる親御さんも増えてきましたね。
これによって英語をインプットするだけでなくアウトプットする能力も向上するのではないかと期待も膨れあがっていますが、少し問題もあるそうです。


基本的に英語能力を測る試験はCEFRという共通の物差しがあり、TOEICで何点だったら英検では◯級と一緒くらいだよ!となるのですが、やはり各テスト間での測れる能力の差や民間に委託することによる不安の声はいまだに多く存在しています。

そもそも日本の英語教育は、外国の論文を翻訳し情報を正確に受け取ることを想定して構築されてきた歴史があります。
そしていま、国際社会への迎合を考えて日本以外の方とのコミュニケーション、オンライン上でやりとりできるように書く能力を上げるようテストが改題されてきました。


今後日本が世界で通用するために必要とされる「英語力」とはどんなものでしょう。
4技能のうち、本当に必要なのはどの能力なのか?本当にこれらすべてが必要なのか。まだ実施もされていない新英語試験ですが、今後、日本が国際的に活躍する人材を育成する上で必要と判断される人物像がここから見えてくる気がしませんか?

 

 

まとめ


・2021年からセンター試験が廃止され大学入学共通テストがはじまる
・試験内容に記述式が追加される
・英語の試験が民間に委託され、4つの技能が問われる

現在の状況では以上の3点が主な変更点となっています!
今回は取り上げられなかった歴史や数学にも問題傾向が新しくなっており、一問一答スタイルではなく知識を関連づけ答えを出す能力が問われ始めています。


問題が変わることによって大きな不安の声が広まっていますが、一度目を通してください!そして、その上でみなさんがどう感じたのか、ぜひともあなたの意見を聞かせてください。


え?僕はどう思っているかって?
僕はなかなかイケてるんじゃないかと思ってます。はてなブログはじめ、これだけ情報にまみれた現代ですが、いま得られる情報のほとんどが”誰かが編集した情報”だとぼくは考えています。


ニュースにしろSNSにしろ、情報の中に事実と合わさって筆者や発言者という第三者による感情が入り組んでおり、個人で考える癖が抜けきっていますよね。


そんな中、試験問題というある種の真実を知識と感情を行使しながら自分なりの事実(答え)を導かせていくテスト形式はなかなかイケてるんじゃないかなぁと思います。
ですが、これもまたぼくが情報をもとに編集した意見ですので、みなさんにはみなさんの解釈があってもいいと思います。いや、むしろその方が面白い。ぜひみんなで考えましょうよ!”センター試験って失敗だったの⁉︎”